急性腸炎時の体験
〜概略〜
2006年10月18日の晩、急に38℃の高熱が出ました。翌朝から39℃前後の高熱が続き、だるさでほとんど眠ることさえ出来ず、20日の朝には40.5℃にまで熱が跳ね上がりました。21日までは少し動いただけで食べたものをすぐに、全て出してしまうありさま。熱は20日の夕方にはすっかり下がったものの、今までに経験したことがないような腹痛がしばらく続き、体位変換すら辛い状態。医者に「尋常ではない」と警告され、色々と検査した結果、21日に急性腸炎と診断されました。原因は過労による免疫低下です‥19〜22日はほとんどの時間を布団の上で過ごし、起立性低血圧なのか、座位になるだけで頭痛が酷く、精神的にも病んでいきました。一人暮らしの体調不良、しかも過去最悪の症状は恐ろしいほど精神状態を蝕みました。
〜病院での対応と精神的なダメージ〜
さて、実はしばらく内科の病院に行ったことはほとんどなく、世話になったのは約7年ぶり。しかし‥2日で5時間は待たされたかと‥実際問題、無意味に待っているせいで体調が悪化したのではないかと思うところさえあります。まあ、それは病院も忙しいから仕方ないとはわかっているんですが‥そして、一番気になったのが、病人に対する医療人の対応です。余所見をしながら話し掛けたり、笑顔が一切なく、真顔で恐い印象の人も、残念ながらだいぶ多かったのです。自分がいつもの調子であれば、このようなことは気にならなかったでしょう。しかし‥この日は本当に弱っており、敏感になっていたようでした。「患者は精神的に弱っている可能性がある。」これは大前提です。そして、今まで自分自身があまりにも丈夫だったため、その当たり前のことは教科書上の話となっており、初めて実感したのが本音です。だからこそ、今回の件は良い勉強になりました。自分が弱っている時のナースの真顔は想像以上に恐いです。その人も疲れていたのかもしれないけど、やはり、絶対に良い印象は与えない。逆に、優しい笑顔で対応してくれたナースには安心感を覚え、気持ちが落ち着いたのでした。その笑顔が本心であるかどうかなど、弱っている時には問題ではありませんでした。
今回の自分の場合、あくまで急性の症状です。じきに治るのは分かっていたことでした。しかし、リハビリを受ける患者は違います。前のようには戻らないのです。今回のように治る場合でも、心身のダメージを受け意欲が減退してしまいました。これがリハビリが必要な、不可逆的な疾患だったら‥その精神的なショックは計り知れません。これからリハビリに関わろうという人は、まず自分が今までに一番精神的にショックを受けたことを思い出してください。そして、リハビリを受ける患者はそのときの自分以上に精神的に弱っていると思った方が良いでしょう。そうすれば、自然と優しく接することができます。決して現場に慣れて、悪い意味で慣れて、患者の気持ちを軽視し、冷たい対応をしないように心掛けましょう。今回は医療人は患者に、常に暖かい態度で接しなければならないという、医療人としての最低限度のマナーを体験しました。
〜自己管理〜
今回の病では、自己管理の大切さも改めて感じさせられました。腸炎の原因は細菌ですが、その細菌にやられた原因は自分自身の免疫低下。過労と栄養失調です‥夜間部学生として、常に忙しく飛び回っていたのが予想以上にダメージとして蓄積されていたようです。そして、介護職として復帰するのにもだいぶ時間がかかりました。介護する側が介護されるようでは話になりません。リハビリ職もそうです。自己管理をしっかりとして、常に、少なくとも患者さんよりは良いコンディションを整えておきましょう。自身が精神的にも肉体的にも安定していない限り、100%のサービスは提供できません。今回は勉強しようと焦った結果ですが、倒れたことで逆に勉強は後退しました。仕事もそうです。がんばった結果、むしろ遠回りするという最悪な結果‥焦る気持ちを抑えつつ、いかにモチベーションを維持できるか。自分に合った、自分なりの方法を模索すべきなのでしょう。