理学療法との違い
理学療法士は作業療法士と同じリハビリの専門職の一種ですが、一般的にはなかなか両者の違いは認識されていないようです。
違い1:回復のためのアプローチ方法
作業療法は患者に合わせた作業を処方して治療をしますが、理学療法は歩行訓練や関節を動かす訓練など体に直接働きかけるのを専門としています。また温熱療法や電気療法など物理療法を行なうのも大きな特徴です。作業療法はどちらかといえば間接的なアプローチによって、患者の回復を図るのです。
違い2:障害の対象
すでに述べたとおり、作業療法の対象は身体・精神・発達・高齢障害です。しかし、理学療法には精神障害は含まれないのです。例えば鬱の人には歩行訓練をさせるよりも、卓球やバレーなど遊び(作業)を施すほうが望ましいからです。
違い3:回復させる能力
作業療法は応用的動作能力または社会的適応能力の回復、理学療法は基本的動作能力の回復を目的としています。応用動作能力とは、「手の機能を含め食事や更衣、家事などの日常生活動作」。社会適応能力とは、「作業遂行能力や自己管理、対人関係などの社会的側面」。基礎的動作能力とは、「歩行、立つ、座るなどの基本能力の回復」であり、障害を負ったばかりの段階(急性期)では理学療法中心。ある程度体が動く段階(回復期)になったら、生活維持や社会復帰のための応用動作を身に付ける作業療法が中心となるのです。
以上のように、作業療法と理学療法はどちらが上・どちらが大事というものではなく、2つあわせて患者を回復させるものなのです。しかし、これはあくまで基本の話です。実際の臨床場面ではお互いに協力して仕事をすることもあるので、作業療法士だから歩行訓練はしない、理学療法士だから精神面は重視しないということはありません。作業療法士の方が人数が少ないこともあり、理学療法士が作業療法仕の役割を担うこともあります。
⇒実際の治療の流れ
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